本導入事例コンテンツは、平成22年11月1日以前にフィードパス株式会社が行った取材を元に作成/公開されています。
事例概要
2004年、自社サーバにて「サイボウズ デヂエ」を導入。
運用を経て得た業務効率化のためのノウハウを、会計業界向けに特化した管理業務システムとしてテンプレート化し、顧客向けに提供することが決定する。
2008年より、フィードパスの「デヂエ for SaaS」サービス内にテンプレートを組み込み、顧客への販売を開始した。
次項より、SaaSサービスならではの汎用性を利用して、業種特化型の管理業務システムとしてのリセールに成功した経緯をご紹介します。

株式会社エヌエムシイは、福島県いわき市で1973年に設立された「野本会計事務所」を基盤として、平成元年に誕生した会計事務所の経営コンサルティング企業である。
誕生以来、税理士の実経験に裏打ちされた会計業界の豊富な知識やノウハウを、全国約1,000もの会計事務所に提供し続けてきた。
平成4年、中小企業の経理事務の合理化を目的に、通信ネットワーク財務システム「キャッシュレーダー」を開発。日付と金額を選ぶだけで自動的に会計帳簿が出来上がり、そのデータが会計事務所と通信で結ばれる画期的なシステムとして、会計業界で注目を浴びる。全国のべ500を超える会計事務所とのべ38,000社もの企業が利用し現在に至る。
「平成4年当時、9割以上の会社が、手書きで帳簿を作成していました。もちろん膨大な時間がかかります。これをシステム化して面倒な経理事務を合理化してもらいたい、という想いでキャッシュレーダーを開発しました。キャッシュレーダーの特徴はお客様が入力したデータが瞬時に会計事務所に通信で送られてくる。会計事務所は事務所にいながらにしてお客様の帳簿を確認できる。結果会計事務所の生産性が飛躍的にあがったのです。当時、インターネットが普及する以前でしたから、会計業界におけるIT化の取り組みとしてはかなり早かったといえますね。」(常務取締役 石川 健氏)
【株式会社エヌエムシイ】:http://www.nmc-van.co.jp/index.html

--デヂエを利用するようになったきっかけや、それまでの問題点を教えてください。
エヌエムシイ税理士法人 部長 鈴木 智博氏(以下鈴木氏) デヂエ導入前は、帳簿チェックや決算書申告書作成などの各種業務は福島の拠点で、顧客への対応は東京の拠点で行っていました。
当然ですが、やりとりが頻繁になればなるほど、遠隔地ゆえにお互いの仕事の見えない問題に直面しました。何かいい手はないか?という経緯があって、拠点間で情報を蓄積・共有できる製品を探し始めたのです。それが4年ほど前でした。
もともと、グループ全体でサイボウズOffice(※1)を利用していたことから、サイボウズ社の他の製品を探しました。すぐに「デヂエ」を見付けて、これならいけるのでは?と思いトライアルをしてみました。
システム開発課 齊藤氏 当時はASPやSaaSなどのサービスは無かったので、自社でサーバを用意し、VPN構築をして拠点間で利用できるようにしました。
鈴木氏 当初は新しいツール、新しい運用ルールに多少の抵抗もありましたが、朝出社したらPCを立ち上げるようにデヂエを立ち上げるようになるまで、あまり時間はかかりませんでしたね。
(※1)サイボウズ社が提供するグループウェアのこと。

--デヂエを導入してどんなメリットがありましたか?
石川氏 やっぱり一番は業務の品質管理ですよね。
会計事務所の業務は、担当者が定期的にお客様先を巡回して、帳簿の作成指導やチェックをし、年に1回の決算の時期になると決算書、申告書の作成を行います。多くの事務所ではこの仕事を最初から最後まで1人の担当者が行うのです。
1人のお客様に対して1人の担当者が全ての仕事を行う。わかりやすくいうと美容師の仕事に似ています。だから担当者の腕によってお客様の満足度が変わってくるのです。
しかも、その仕事をお客様先に訪問して行うケースが多い。したがって、管理する(経営者)側からすれば誰がどこへ行ってどんな仕事をしているかが、まったく見えないというウィークポイントがあるのです。 それが、今回のデヂエを導入することによって、誰がいつどのような仕事をしているかが全てデータとして登録されるようになりました。結果、仕事の内容が全てガラス張りになり、業務の品質基準が明確になりました。
先日も仲間の税理士さんが見学に来ましたが、書類の少なさに驚いておられました。
鈴木氏 先に述べたように、遠隔地ゆえに仕事の進捗が見えにくい問題が解決したことはもちろん、担当者自身がデヂエを活用して、自身の仕事の管理や他の社員に仕事の状況を見られているという意識に変化したことも大きなことでした。導入時こそ多少の抵抗はありましたが、慣れてくれば業務を行う上で、なくては業務が進まない状況になりました。今では、欠かすことのできない基幹システムであり、手放せないものです。
その他には、ペーパーレスが挙げられますね。会計業界では紙媒体による資料の数が膨大です。デヂエを利用することで、膨大な資料の中から情報を引き出すのではなく、デヂエから引き出すように変化しました。

--デヂエをSaaSサービスで顧客に提供するに至った経緯や決め手について教えてください。
石川氏 エムエムシイ税理士法人として、実際にデヂエを利用して得た成功体験を、同業の会計事務所で困っている事務所に公開したいと思ったのがきっかけです。
会計事務所というのは目には見えない「顧問」というサービスを提供しているため、「進捗管理」「顧客管理」などの管理業務が非常に重要視されている事も理由の一つですね。
実際顧客に提供するとなると、サーバの管理や環境の構築など、さまざまな問題がありました。できるだけ運用・管理コストをかけずに実現可能だったこと、動作が軽快だったことがSaaSモデルを選んだ決め手です。
また、SaaSモデルでのサービス提供は、会計業界においてはまだ浸透しておらず、新しい取り組みだったことも要因の一つでした。

--実際はどのようなライブラリを提供されているのですか?
石川氏 自社で運用していて効果的だったライブラリを選定して、テンプレート化しています。デヂエはそこから好きなように作りこみができるので、それぞれの会計事務所によって異なる運用が想定されるライブラリの場合には、お客様ごとに独自で作り変えていただいています。
○お客様情報ライブラリ
まずは顧客管理のためのライブラリです。一般的な会計事務所では、お客様の情報を部分的にしか公開しておらず、結果として、お客様からの問い合わせがあった場合でも、担当者じゃないと分からないという隔たりを生じさせてしまいます。
何よりも先に、顧客情報を可視化してきちんと把握する、というところが業務効率化のスタートラインであり、非常に重要なポイントです。
顧客名や住所、連絡先はもちろん、誰が担当か、どんな契約内容なのか、報酬はいくらか、などの詳細情報もきめ細かに蓄積できる作りです。
○お客様カルテライブラリ
会計事務所の特徴として、会計士や税理士の資格を取得した後、いろいろな会計事務所を渡り歩くという文化があります。事務所側からすると、担当者が急に辞めてしまうとお客様の個別情報が申し送りされず、お客様に前の担当者が聞いたことをまた聞くことになり、お客様からの信頼を損なうことがあります。そのため常に情報を浮きあがらせておいて、すぐに別担当者に引き継げる準備をしておく必要があります。 このライブラリでは、顧客ごとの注意点、決算などの手順、特記事項などをまとめて蓄積できるようになっています。

--今後の展望やフィードパスへの要望があればお聞かせください。
石川氏 弊社では「デヂエ for SaaS」を仕事の生産性・業務品質を上げるためのツールと捉えています。同様のツールを全国の会計事務所にどんどん広めて、会計事務所のサービスの品質を向上していただく。ひいては事務所職員の方々にもっと元気になってもらいたいと考えています。
同時に、会計事務所の中の仕事の透明性を高め職人の世界から脱却することによって、未経験者が即戦力として活躍できる環境になれば、業界全体が活性化すると確信しています。
2009年12月には、帳簿作成ソフトである「キャッシュレーダー」のSaaS版をリリース予定です。帳簿作成は「キャッシュレーダー」で、管理業務は「デヂエ for SaaS」で、というようにセット提案する取組を企画しています。サーバが無くても、すぐに会計業務に必要なツールが揃う、というところに商機と可能性を感じています。
取材後記
株式会社エヌエムシイが、会計業界に特化した管理業務ツールをフィードパスの「デヂエ for SaaS」で構築し、自社サービスとして顧客に販売する、という画期的な事例であった。
同社の取り組みは、「デヂエ for SaaS」の単純なリセールではない。なぜなら会計以外の業種でも、それぞれに特化したツールとして作りこむことで同様のビジネスモデルが構築できると考えられ、その大きな可能性を示唆したからである。

















